ゲノム改変技術
B-2. 精密なゲノム設計技術の開発

広島大学・野村 渉
hiroshima-u.ac.jp

技術概要

  • 遺伝子配列の欠損が可能であるため、大幅な配列改変ができる。
    → ヌクレアーゼによる小さな変異導入では相同修復による変異キャンセルを回避できる。
  • リコンピナーゼによる組換えでは修復過程を必要としない。
    → 植物の修復系によらない遺伝子配列の変換が可能であり、反応効率を一定の高さに保てる。
  • 長いドナー遺伝子(クラスター遺伝子のコード配列など)を部位選択的に導入することが可能である。

成果

  • 標的遺伝子を組み換えることで広い領域のdeletionが行えることを実証された
  • 組み換え後に生成する配列が正確に制御できるため目的とする細胞の選抜の必要がないことが確認された
  • ゲノム改変における機能性タンパク質の探索、高機能化などに有用なスクリーニング技術を確立した

概要

ヌクレアーゼを基盤とする既存のゲノム編集技術とは異なり、DNA組換え反応を人工的に制御する技術として利用可能。DNA結合ドメインとしてジンクフィンガードメインを利用する。

技術の優位性

  • CRISPR-Cas9システムなどDNA切断を用いる手法とは異なる機構によるゲノム編集が可能である
  • 大幅なゲノム領域の欠損や遺伝子の挿入反応などの多様な反応が効率的に行える

実用に向けた課題

  • 植物での有用性の実証(植物細胞に適用)

提供できる技術

  • ゲノム挿入反応 (H29〜)
  • 大幅なゲノム領域の欠損反応 (H29〜)
  • 特許を伴う植物ゲノム改変技術としての利用 (H30〜)

補足

  • ゲノム改変技術関連のタンパク質の高機能化に酵母を利用したスクリーニング技術を有している